システム監査技術者試験の論文下書き作成のコツ

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前回はシステム監査技術者試験の論文対策におすすめの書籍と、最初にやるべきことを紹介しました。
システム監査技術者試験の論文対策におすすめの書籍と勉強方法

今回は、試験に向けた論文の下書き作成のコツをまとめます。

論文の下書き作成 - 設問 ア)

設問 ア)は全ての土台

早速ですが、この 設問ア) は非常に重要です。

試験問題文にも記載されている通り、
設問イ)は、設問ア)の内容を踏まえての記載になりますし、
設問ウ)は、設問イ)の内容を踏まえての記載になります。

つまり、設問ア)は全ての土台となるため、
ここで方向性を誤ると後々の修正が非常に困難になります。

しっかりと考えて、下書きを作りましょう。

下書きは何本必要か

下書きについては、何本用意するかが参考書によって意見が分かれています。
確実に言えることは、1本も用意しないのはさすがに準備不足だと言うことです。
なので、まず下書きを1本作成して、これくらいの文章を書けば700字や800字になるという感覚を掴みましょう。

舞台となる会社の設定

論文の下書きを作るにあたって、論文の舞台となる会社を設定することが必要です。
状況設定については、「会社が課題をかかえており、それに対応するために新システムを導入する」という設定にしておくと使い回しがききやすいです。

具体的には

  • 新しい事業を展開するにあたり、既存システムでは対応できない業務が特定された
     →新事業に対応するシステム導入

  • 売上が好調で取引の規模が拡大している。他方、既存システムはディスク容量か逼迫しており、ハードも老朽化している。
     →ハードウェアの入れ替えに合わせ、新システムを構築。

  • 事業部レベルで個別システムが乱立した結果、会社レベルで情報を収集すると、情報の粒度が異なり経営者の判断に使うための資料を作ることができない。
     →全体最適化を目指したERPの導入

等を候補に挙げることができます。

そこに、ご自身が乗り越えられた厳しい体験を添えてみてください。
具体的には、

  • 現システムでは、ハード障害により半日業務が停止した経験がある。
  • 現システム開発時には、要件定義が不十分であったため、開発の手戻りが多く発生し、工数が膨れ上がった
  • テスト計画が不十分であり、カットオーバー後に不具合が多発した。

などです。

お仕事をされているなかで、厳しい体験はいくつか出てくると思いますので、論文に使えそうなネタを洗い出しておくといいですよ。

その中から、試験当日には問題文のテーマに合った体験談を採用して下さい。

私が書いた会社設定の実例

私は平成24年の春試験で、問3「冗長化対策とシステム復旧手順に関する監査について」を選択しました。
ここで添えたトラブルは、上記で紹介した「ハード障害により半日業務が停止」です。
この課題に対応する施策として、今回のシステム導入では「冗長化対策を要件に組み込んでいる」と繋げて論文を組み立てました。

また、自身の立場としては、「私はこの会社の内部監査室に勤めており、当プロジェクトの内部監査にアサインされた。」という設定にしました。

以上の内容を記載すると、設問ア)は十分な文字量になります。

ここで状況設定した「A社」は、多くの問題に使いまわすことができます。
上記の内容を参考に、しっかりと時間をかけてA社の設定を考えましょう。

論文の下書き作成 - 設問 イ)

設問 イ)は、リスクとコントロールを記載する

続いて、設問イ) です。
設問イ)では、設問ア)の内容を踏まえて、問題の指示に沿った記載をします。
ここで問われるのは、設問ア)に記載した内容における、留意すべきリスクや、必要なコントロールの記載です。

設問ア)と同じく『システム監査技術者 合格論文の書き方・事例集』を参考に、様々な事例に触れておきましょう。加えて、午後Ⅰの勉強中に、各問題の解説を読みながら、午後Ⅱにも使えそうなネタをまとめておきましょう。

リスクは「何かが不足すること」と置き換えることができます。 例えば、要件定義のフェーズに、ユーザ部門とシステム部門の責任者(役職者)だけが参画しており、現場業務の実態を取り込むことができず、業務に合致しないシステムが構築されてしまうリスク。などですね。

私の回答実例- 設問 イ)

平成24年の春試験、問3の設問イ)は、「当該情報システムの冗長化対策の検討過程において、どのような対策又は対策の組み合わせが比較され、採用されたか。想定される脅威が顕在する可能性、顕在化した場合の影響度及び対策の経済的合理性を踏まえて述べよ。」でした。

私はこれに対して、サーバ2台構成の冗長化サービスを利用するにあたり、バックアップサーバの設置場所を「耐震・耐火対策が取られた自社のサーバ室」か、「データセンターのハウジングサービス利用」を検討した。という内容を記載しました。

今回の冗長化対策の目的は、過去に経験したハード障害による業務停止を回避するためのものです。大規模な災害発生時に、A社の建屋自体が破損し、データセンターのバックアップサーバのみが稼働しても業務を継続することは困難であるため、コストの低い自社サーバ室に設置することに決定したといったような内容を記載しました。

論文の下書き作成 - 設問 ウ)

設問 ウ)は、「監査手続」を記載する

続いて、設問ウ)です。
設問ウ)では、設問イ)で記載した内容に対する、「監査手続」の記載が問われます。
ここで重要になるのが「監査手続とは何か」ということです。

監査手続と、作り手の立場の違い

監査手続は、例えば「資料の閲覧」「責任者への質問」「実機の観察」などです。
システムを作る側の立場の方は、ついつい「リスク対策のために、このようなシステムを構築した」という記載をしてしまうことがありますので、注意しましょう。
監査手続の例について、詳しくは『システム監査技術者 合格論文の書き方・事例集』の論文サンプルで確認して下さい。

設問ウ)の対策は、設問イ)と同じで、午後Ⅰの勉強中に使えそうな事例をネタ帳として控えておくことです。監査手続の考え方に慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。

私の回答実例- 設問 ウ)

平成24年の春試験、問3の設問ウ)は、「システム復旧手順の実効性を監査する場合の監査手続きを述べよ」でした。

A社の復旧手順は、DBサーバを冗長化し、本番サーバに異常が発生した場合には、自動的にバックアップサーバに接続が切り替わる。というものでした。

この復旧手順の実効性を監査する手続きとして、

  • 復旧手順マニュアルを閲覧し、ルールが整備されていることを確認する
  • 復旧テストの議事録の閲覧し、以下を確認する
     -復旧マニュアルに沿ったテストが実施され、復旧結果が確認できていること。
     -復旧テストには、システム部門要員だけでなく、ユーザ部門要員も参加していること

  • 担当者へ質問し、テストは毎年実施し、復旧マニュアルの内容が陳腐化することを防止していることを確認する

といった内容を記載しました。

そして、「復旧テストへのユーザ部門要員の参加は非常に重要である。なぜならばシステム部門だけでは、実際に業務が継続できるところまでシステムが復旧していることを判定することが困難であるためである」といった内容も添えておきました。

紹介した参考書に「○○は重要である。なぜなら~だから」といった記載を盛り込むと好印象、と書いてあったからです。

終わりに

以上、システム監査技術者試験の論文対策です。

私の回答は完璧ではありません。しかし、多少崩れた内容でも、何とかして合格ラインに手を届かせることが重要です。
論文試験のA評価は100点ではありません。

この内容がどなたかの試験対策にお役に立てれば大変嬉しく思います。

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ぐっちー

大学受験勉強なし、30歳から英語の勉強を初めてTOEIC860点に到達しました。特に初級者~中級者に向けて、TOEICの学習方法をお伝えすることができます。詳細のプロフィールと、当ブログの紹介はこちら

コメント

  1. shin より:

    初めまして!
    来春に「システム監査」を受験予定ですが、ぐっちーさんの
    勉強法が大変参考になりました。
    少し早いのですが、「システム監査技術者合格論文の書き方事例集」を
    購入しました。
    ぐっちーさんは、この本を使用しどの様に学習されましたでしょうか。
    (自分の論文を作成する上で参考になりそうな部分にマーカーを引く様な
    形でしょうか。)また、本番試験前に本番相当の文字数の論文を何本位作成
    されましたでしょうか。お時間がある時にご回答頂けると幸いです。

    • ぐっちー より:

      >shinさん
      コメントありがとうございました(^^)
      勉強方法は、書いて下さった通り、まずは購入されたテキストを読みながら大事そうな場所にラインを引きました。

      下書きは実はちゃんとしたものは1本も用意していなかったんです。
      この辺り、別の記事に詳しくまとめていますので、こちらが参考になると思います(^^)
      http://porism.jp/jitec-ac-essay-howto

  2. shin より:

    早速のご回答、ありがとうございます!

    下書きを一本も用意しなかったんですね。
    とても難しい資格試験ですが、ぐっちーさんの勉強法を参考に勉強しようと思います。今後とも、よろしくお願いします。